「不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか」──モチベーションが下がってる人にオススメ

不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書)

不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書)

本の帯に「こんな職場は要注意!!」という題で、

  • 新しいことに参加してくれない
  • メールなどで一方的に指示を出してきて、こちらの対応が遅いとキレる
  • 困っている人がいても、「手伝おうか」の一言がない
  • 「おはよう」等の挨拶がなく、皆淡々と仕事を始める

など計9項目書かれていますが、上の4つだけでも思い当たる節のある方は多いのではないでしょうか。
私は特に「挨拶がまともに出来ない職場」というのに心当たりがあります。
もーこれだけはホント嫌です。
断言しますけど、挨拶しても返ってこない職場は最悪です。

原因は成果主義

通説かもしれませんがこの本でも、近年こういう職場になってきているのは成果主義の導入によるところが大きい、としています。(私は「従来の日本型企業」で働いたことがないので、なんともなところですが)


単に自分の成績が重要だから他人と協力しないという面だけでなく、個人個人の作業スコープ(範囲)を明確にしたことで、“自分の業務以外と関わる機会が少なくなった”という理由も挙げられていたのが印象的でした。
(作業スコープを明確にすること自体は、責任の所存をハッキリさせ、個人個人を正しく評価する上でも正しいことなので、そこは本書でも批判してません)


先日読んだ『自分の小さな「箱」から脱出する方法』(書評はこちら)の言葉を使って表すと、多分成果主義というのは「自分の箱に閉じこもりやすい」性質を持っているということなんじゃないかと思います。

その対処方法

ただし、本書は「従来の日本企業」型に戻るべきだ、とは言ってません。
その対処方法として本書が推奨しているのが、社内コミュニティの促進です。
その例として、Googleサイバーエージェント、ヨリタ歯科クリニックの3社の例が出ています。
このあたりはAgile開発のチームビルディングとすごく似ている(というかまさにそのもの)気がしました。


そしてさらに、次の節が印象的だったので引用しときます。

しかし、疑問に思う人もいるのではないだろうか。
多くの会社が社内ブログやイントラネットを活用したが、上手くいっていないと聞く。
なぜ、サイバーエージェントではそれが、上手く機能しているのだろうか、と。
(中略)
(答えは)外にあるブログやホームページと比べて、競争力のあるレベルで面白いから、人は、そこを訪れるのである。

確かに、つまらないコンテンツだったら単なる「上層部からの押しつけ」になってしまいますね。
これは納得。

この本の真価

本書には結局どうすればいいかという具体的なことは書かれていません。(それは企業ごとに違うから当然といえば当然かな)
ただ、この本の真の価値は、読んでいて希望が見えてくる(ような気がする)ことだと思います。
不機嫌な職場の原因が分析されていて、その上で成功事例が何例か載っている。モチベーションを上げるには最適の一冊かもしれません。