「アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~」──アジャイル開発の弱点と思われていた点を利点に変える一冊

アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~

アジャイルな見積りと計画づくり ~価値あるソフトウェアを育てる概念と技法~

じっくりと読ませていただきました!
あとがきに『本書の原著は北米圏のアジャイルソフトウェア開発コミュニティで「必読の一冊」という評価が確立していることです』とあるとおり、素晴らしい内容です。


本書はタイトルの通り、アジャイル開発においてあまり言及されることがない見積もりをメインのテーマとして据えています。
プロジェクトを進めていくうちに、プロジェクト(プロダクト)に対しての知識が増えていくわけだから、計画に変更が加わるのは自然なこと。
そして、最初だけでなく各タイミングで計画し続けることで、変更を受け入れる計画づくりを行うことが出来る。
ということが、いろいろな視点から書かれています。


具体的な手法として紹介されている“ストーリーポイント”を使った見積もりもなかなか上手い方法だと思いました。
普通だとタスクに対して見積もりを行うわけですが、ここで提唱されているストーリーポイントというのは、顧客に価値を与えるストーリー(機能など)に対して見積もりを行います。
もちろんこれは後でタスクに分解して、さらには工数に換算するわけですが、こうすることで“タスクにあるものを創る”のではなく“製品に価値を負荷するものを創る”という方向で開発が進められるわけです。


あと、本書のいいところのひとつは、インクリメンタルかつイテレーティブな開発(≒アジャイル開発?)をどのように進めていけばいいかというのが非常に判りやすいことだと思います。
他のアジャイル系の本を読んでも具体的にイメージできなかったところが、イメージできるようになるというか……そんな感じです。


ということで、アジャイル開発の入門書としては使いづらいと思いますが、2冊目以降に必ず読んでおきたい一冊です!