「シナリオライティングの黄金則 ー コンテンツを面白くする ー」

シナリオライティングの黄金則 ー コンテンツを面白くする ー

シナリオライティングの黄金則 ー コンテンツを面白くする ー

シナリオに文才は必要ない。
しかしルールを知ることは必要だ。


本書は体系的にシナリオについてまとめた本です。
日本は感性でシナリオを作るという文化でしたが、アメリカ(ハリウッド)では前々から論理的にシナリオを作る(プロットをつくる)ことが行われてきました。
実際にアメリカでも働いていた著者が、それらを参考に何年もかけて行ってきた研究の結果。それを、実際の経験を交えて語ってあります。


読んでみた感想としては、よくシナリオ本にある「私はこういうことに気をつけている」というレベルのかなり上を行っている内容だと思います。
私もシナリオを作ったり他作品を見る時はこういう頭で判断しているのですが、ここに書いてある内容(体系的なプロットの切り方)を実践していれば格段に良くなっていただろうと思う作品はよく見かけます。
(というか、「これらを考えていれば見れるものになったのに……」と思うことが結構ある)


本書にもあるとおり、「これだけが正解」ではないけれど、「これらのポイントを守るとよくなる」のは確かだと思います。
同じく書いてあった「これらを守ったからといって、作品の幅が狭まるわけではない」というのにも賛成です。


少しだけ不満を言うならば、 ここに書いてあるのだと守るべきものがちょっと多すぎるかな、ということ。
分析としてはここまでやって正解なのですが、実際に自分で書く場合は、意識するものはもっと少なくていいんじゃないかと思います。
具体的には、この本に習うならば「三幕構成」「メインストーリー/サブストーリー/・・・」「ミッドポイント」「リマインダー(印象的な何か)」あたりでしょうか。(個人的には、さらに「ミスリード」が欲しい)
私が未熟なせいも大きいかとは思いますが、このくらいに絞って考えた方が効果が上がる気がします。


なかなかここまでシナリオを体系的に扱った本はなかったので、そういう意味も含めてこれを出版したのはなかなか凄いなぁと思いました。
私も常々、シナリオ(というかプロット)はもっと論理的に組み立てるべきだと思っているので、こういう方向性の活動は応援したいです。