「株式会社プロジェクトソラ - 特別対談」──ゲーム業界人必見?

http://www.project-sora.co.jp/interview/index.html
任天堂と有限会社ソラが、新プロジェクト限定の会社を立ち上げたそうです。
見て欲しいのは会社立ち上げの記事でなく、株式会社プロジェクトソラのHPにある任天堂社長の岩田さんと桜井さんの対談です。
ものすっごく濃い内容になってます。
とりあえずゲーム業界人は原文を読んでください、と言いたくなる内容です!

プロジェクト単位の組織

私が特に気になったところが何点かあるのですが、その一つが岩田さんの次の部分。

クリエイティブにモノをつくる集団というのは、
必ずしも長期間勤めることを前提とした
組織でなくてもいいのではないかと
私も思っているんです。
クリエイティブに関わる他の業界を見れば
明らかなんですが、本来はそういう組織でなくても
モノをつくる仕組みはできるのに、
ゲーム業界ではそういう組織で
ゲームをつくることが普通になっています。

普通の会社では離職率をなるべく減らすように努力して、“人材育成”して“チームの結束力”を強めていくことに価値を置くわけですが、任天堂の社長がそうでなくてもいいと言い切ってます。
桜井さんも「自分は同じ会社で、同じ人たちと、同じように、モノを作り続けることに限界を感じていました。」と言っています。


ちょっと考えましたが、これについては私はまだ立ち位置を決められないかも……。
サウンドやシナリオの人は、いまも半分はプロジェクト契約だったりすると思いますけど、うーん……。
ゲームの場合“会社の資産”というのも大きいし……でも、ここで言ってることはすごくよく判るし……。
むずかしいところです。

桜井さんの創り方

もう一つ気になったのが、この部分。同じく岩田さんの発言部です。

桜井さんのモノづくりって面白くて、
最初にものすごく大量の仕様を地道に詰め込んだ
設計図を作って、頭の中で動かして
「完成形はこうだ!」と思っているはずなのに、
途中でこれはどう考えても日程的に
全部は実現できないとわかると、
「じゃあこれはカットしましょう」と
バサッと切れるんです。

(中略)

それで、これはすごいといつも感心するのは、
バサッと切ったときに、全体が破綻しないように
切り方が事前に考えられているみたいなんです。

桜井さんは、最初からどこを削ったらいいかを見越してウォーターフォールで創ってるってことでしょうか?
この文面を見る限り、大規模開発ではよく制作する「試作版」を創っていないようです。


確かにそれが出来ればかなり効率が良いわけですが、ここでも

普通の価値観では、桜井さんのやり方には
勝算がないんだと思います。
つまり、このプロジェクトの運営方針は、
桜井さん個人の特殊能力に頼っているんです。

と言っているとおり、これは“特殊能力”だなって思います。
企画職は「最初から完成型をより正確に思い描くこと」に取り組むべき(というか取り組んでるはず)ですが、まず桜井さんほど描けないですし、描けたとしても「それがそもそも面白いか」の問題と、普通は上を納得させることが難しいはず。
なのでこれは、桜井さんの“特殊能力”と信頼があって成立するのかなと感じました。

リーダーとスタッフに必要なこと

最後がここです。ともに桜井さんの発言部から。

そういうときに重要なのは、例えばリーダーの
決定に対して信用があるかどうかだと思います。
今回はクレヨンタッチでいきますとか、
今回はリアルタッチでいきますとか、
そういうプレゼンをリーダーはできる必要があるし、
いろいろな結論を導き出した決定に対して
あまり疑いがないようにしなければいけない。

スタッフの側には、器用にそれに合わせていく
技量が必要だと思いますね。
例えば、修正指示を出して調整してもらったとき、
その人の感覚では大きく変えていたとしても、
全体から見たらほとんど違いがわからなかった、
ということはよくあります。

この部分です。


ここらは私も身に覚えがあるので、文句なしに納得。
企画職の場合、リーダーでなくても指示出しの役職なわけですから、上の両方が求められるというわけですね。
うへー、企画職ってすごいっすねw(他人事のように……)