「悩む力」

悩む力 (集英社新書 444C)

悩む力 (集英社新書 444C)

「悩む力」というタイトル通り、この著者は相当悩み抜いてきたんだろうなあと思わせる文章でした。
内容としては、「物は豊かになったが心は貧しくなった」的な現代人が抱える孤独を紐解いていく感じです。


驚くべきは各章のタイトルです。

  • 序章 「いまを生きる」悩み
  • 1章 「私」とは何者か
  • 2章 世の中すべて「金」なのか
  • 3章 「知ってるつもり」じゃないか
  • 4章 「青春」は美しいか
  • 5章 「信じる者」は救われるか
  • 6章 何のために「働く」のか
  • 7章 「変わらぬ愛」はあるのか
  • 8章 なぜ死んではいけないか
  • 終章 老いて「最強」たれ

なんと真っ直ぐな悩みなんでしょうか。
この愚直な悩み方には魅力を感じました。


全体的に著者が敬愛する夏目漱石マックス・ウェーバーを中心に話が進みます。
大部分が「悩む力」についての著者の考えが書いてあり、論理的ではないため、納得できる部分と納得できない部分とが。


漱石ウェーバーの時代といまの時代を比べる部分にはなかなか考えさせられるところがありました。
しかし、ちょっと懐古主義なところがあり、その部分には賛同しかねます。


という感じで、「悩む力」というタイトルから期待されるものはあまり書かれていませんでしたが、読み物としてはいい一冊です。