「罪と音楽」

罪と音楽

罪と音楽

小室哲哉さんのエッセイ本。
帯ではエッセイとなっていますが、例の事件を中心とした自伝的内容です。


私が流行曲を聴きだしたのが90年代中盤で、初めて買ったCDは小室サウンド
ちょうど90年代中盤〜2000年過ぎが一番CDを買っていた時期で、まさに小室さんの音楽と共に育ってきました。
それだけに、あの事件はショックだったのです。


最初はそこまで内容に期待してませんでした。
しかし、自身の言葉で語られる内容はとてもリアルで、ぐいぐいと引き込まれて行きました。

また、事件関連だけでなく、小室さんの考えが綴られている部分が多く、いくつも心に響く点がありました。

「桜」がテーマのヒット曲が量産されたというような文脈からの続き)
「もう飽和でしょ」「まだやるのか」と思っているアーティストやバンドが頭を捻り、知恵を絞るから、ヒット曲が生まれると、信じているからだ。逆に言うと、何の疑問も持たず、自ら好き好んでまだ桜を歌っている人たちに、ヒットは望めない。

「良い曲」と「企画」の両方がヒットの最低条件なのは、今も同じだ。

これらの文節には強く共感を覚えました。(今だから共感できるのだと思う)
また、「時代に合わせて歌詞を判りやすくしていった」話やbpmの話は、当時こんなことを考えて曲が作り出されていたんだと裏側を見た気がします。
なるほど、音楽をプロデュースするというのはこういうことか。という感じです。


感情的な面で言っても、「ああ、こういう考えの人が書いた歌だから、自分はあんなにも好きだったんだな」って納得しちゃいました。


この本を通じて感じたのは、小室さんはホントに音楽を愛しているということ。
事件についてはここに記すことが出来ない裏事情が色々とあるような雰囲気が漂っていますが、そこだけはまっすぐに伝わってきました。
うん、これからの小室さんに期待しています。


そんな感じで、読み始めてから一気に読み切ってしまうくらい、引き込まれる一冊でした。
小室サウンドが好きだった方なら、読んで損はないかと〜。
あと、次回は是非、音楽のことだけを語った本を出していただきたい!